1997年の3月末からカナダのバンクーバーへワーキングホリデービザで約一年間、2001年の2月にはスウェーデンのストックホルムに観光ビザで一ヶ月間、滞在しました。
元々は海外に旅行ではなく、一定期間滞在してみたいと思っていました。日本とは違う環境・文化・歴史や背景の中で一定期間生活することで、様々なことに触れたり違う風景を見て 沢山の人と話してみたいと考えていたからです。そんな時に、整骨院で見習いをしていて高齢の患者さんが多い為、福祉に興味を持ち 社会福祉の水準が高いと言われているスウェーデンの本を読むようになりました。そして、そんなにすごいのなら、いつかスウェーデンに行って自分の足で歩いて 自分の目で見て 出来れば色々なことを聞いて、実際に自分の身体(五感)全体で感じてみたいと思うようになりました。
その後、初めて海外へ行った時にワーキングホリデービザというものがあり 一年間海外に滞在出来ると知りました。そこでまずはそれを利用して海外へ行ってみようと思い、調べてみました。当時ワーキングホリデービザを利用して滞在出来る国はオーストラリア・ニュージーランド・カナダの3カ国でした。(その後、フランス・ドイツ・イギリスなど色々と増えているようです。) どの国にしようか考えている時に、ワーキングホリデーのガイドブックにカナダは医療と福祉の水準が高いと説明がありました。 そこでカナダの福祉を見る事も目的にすることで、滞在中に何をすればいいか迷った時に 行動の指針になるものがあった方が 図書館やボランティアセンターへ行くとか、すぐに行動できると思い カナダへ そしてワーキングホリデー協会の勧めで太平洋側の都市バンクーバーに行く事に決めました。
バンクーバーでは最初の4週間はカナダ人の家にホームステイをしながら語学学校に通いました。その後は学校で知り合った日本人とアパートを借りて生活しながら 旧日本人街にある日系人高齢者のデイサービスセンターに週3日位、ボランティアとして通いました。
そこでは、週一回の体操教室に参加して日系人高齢者の方達とラジオ体操や色々な体操をしました。 気候がいい時期には、車椅子の方の補助をして バンクーバー周辺の湾岸クルージングやマイナーリーグの野球観戦、アイススケートショーなど色々な所へ出掛けました。途中から、月二回の車椅子の方に向けた体操教室の担当もさせていただきました。また毎年夏に行われている、日本の文化を伝えていく パウエルフェスティバル というイベントにデイサービスセンターのスタッフとしても参加しました。イベントの始めにステージ上で体操教室の日系人高齢者の方達皆でラジオ体操を披露しました。
デイサービスセンターの責任者の方や、そこで働いている方達とも沢山話しを聞くことが出来、自宅へ呼んでいただいたりもしてくれました。 更にデイサービスに来ていた方を通じてバンクーバーのリハビリ病院を見学させてもらう機会も出来ました。病院の中にスーパーの売り場とレジやバスの出入り口の形をした場所があり、何かと聞いたら 車椅子の患者さんが退院してもすぐに対応できるように売り場やバスの乗り降りを練習する為との事でした。そういう環境ということもあり、バンクーバーの街は車椅子の方が一人で外出していることも多く、電車やバスも一人で乗り降りする事が出来ます。駅には必ずエレベーターがあり、ホームと電車の間に段差はありません。バスは車椅子の方が乗ろうとするとスロープが自動で出てきたり・・・ 車椅子やベビーカー、足の不自由な方などに優しい街という印象で とても驚きでした。
バンクーバーでは他にも、日本人が地元の子供達に指導している柔道クラブにボランティアでお手伝いし 大人の柔道クラブで昇段審査を受けるカナディアンの「型の審査」のパートナーとして参加 日本語学校の授業のお手伝いなど、様々な経験をさせていただきました。
そしてバンクーバーでのデイサービスのボランティアでお世話になった方が、スウェーデン人と結婚しスウェーデンに住んでいた日本人の女性を知っているという事で紹介してもらい、2001年の2月にスウェーデンのストックホルムに1ヶ月滞在する事が出来ました。
ストックホルムでは、紹介していただいた方の友達の日本人の家に泊めてくださったり 3か所のユースホステルに泊まりました。以前は刑務所だったというユースホステルもありました。滞在中は、2~3日に一度は雪が降っていましたが なるべく街中を歩いてみて街の雰囲気や生活している人たちの様子を見るようにしました。父親の育児休暇の取得率は高いので、平日昼間に父親がベビーカーを押している姿もよく見ました。
また、その紹介していただいた方がたまたまストックホルムで理学療法士として働いていたことから高齢者施設の中も入らせていただきました。最近は北欧への福祉の研修や見学が多い為、いきなり行っても見学は出来ないらしいとの事でしたので、とてもラッキーでした。
施設は殆どが駅のすぐ近くにあり、一階は地域のホームドクターや訪問看護センターが入っていました。高齢者の住居施設は個室でそれぞれにキッチン・バス・トイレがあります。一階にレストランがある施設もありました。食事は自分で部屋で調理するのも配食を頼んだりレストランを利用するのも全て自由です。そこの地域のホームドクターや看護師、一般の人誰でもレストランは利用可能です。私もそこでランチで利用しました。
ストックホルムは一ヶ月だけの滞在で、しかも2月で日が沈むのも早いということもあり、バンクーバーの時ほど そこでの生活の様子を見ることは出来ませんでしたが、晴れた日は沢山の人たちが外へ出て 湖の周りを散歩したり公園で遊んだりと、短い日照時間を楽しんでいるように見えました。また、理学療法士は身体のリハビリ 作業療法士は高齢者や病気などでサポートが必要な方が自宅に戻った時に、どこに手すりが必要かとか段差をなくした方がいいか、などを考えると聞きました。高齢者住宅とその施設の周りの環境、育児休暇なども含めて、サポートが必要な人たちに対して その設備や制度がしっかりと整っているという印象でした。
どちらの国も日本とは違ったところが沢山あり、見ることが出来てよかったです。また街中を自分の足で歩いて、見て、沢山の方達と出会い色々なお話を聞くことが出来たのは本当にいい経験になりました。